自宅が映画館に早変わり、映画館でしか味わえなかった迫力が自宅で再現

 HDMIのすべてがわかる。-画質音質に優れるAV機器の接続方法-

逸品館お薦めのAV機器の接続方法

ブルーレイ・プレーヤー、HD−DVDプレーヤーなどの次世代ハイビジョン再生機の登場で一気にクローズアップされたのが[HDMI Ver1.3]という接続規格です。
なぜ、[Ver1.3]なのか?というと、[Ver1.3]では、新世代のハイビジョンディスクに対応するために、それ以前(Ver1.2以前)の[HDMI]接続から大きく拡張され、音質・画質の伝送規格(伝送できるデーター量)が大幅に拡大されているからです。
最新AV製品では、この[HDMIVer1.3]の採用が大きなポイントとされ、それ以前の規格しか搭載していない製品との差別化(Ver 1.2以前の製品は古い)が図られています。新しい規格を推進するのは、大いに結構なのですが、ほとんどのAV機器メーカーがあまりにも[HDMI Ver1.3]ばかりを大推進しすぎるため、ユーザーに[Ver 1.2]以前の製品がまるで使い物にならないかのような“大きな誤解”を与えてしまったようで、非常に残念に思います。
我々のテストでは、[画質]・[音質]ともに[HDMI Ver1.3]で接続しても、従来の[HDMI Ver1.2]やコンポーネントなどのアナログ接続と比較して、ほとんど有効な効果は得られないと結論付けられていますので、安心して[HDMI Ver1.3]非搭載の製品のご購入、継続してのご愛用をお薦めいたします。
また2007年は、この[HDMI Ver1.3]の登場だけではなく、デジタル放送のコピー制御も改革が行われ、従来1回限りだったコピーが10回まで許可されるなど、大幅な改革の年となりました。そのため、機器ご購入や買い換えなどの際に“大きなとまどい”を感じていらっしゃる方も少なくないと思います。
本来であればその一つずつを詳しくご説明し、技術的な背景を含めた解説ページの作成を検討していたのですが、ユーザー様がその技術的な背景をお知りになったとしても、難解なだけでかえって混乱を深めるなどメリットが皆無と判断し、「画質」・「音質」だけに特化した接続方法のみご説明させていただくことといたしました。
これらの技術的な背景は、個人様が作成されたリンクフリーのHP「僕にもわかる地上デジタル」にきわめて正確かつ的確にまとめられていたため、このHPをご紹介することで説明に変えさせていただきたいと思います。

画質の良い接続方法の考え方

一般に映像信号の接続は、「アナログを経由しないデジタル接続の方が優秀である」と説明されていますが、我々のテストでは、この常識と異なる結果が得られています。
考えられる理由は次のようなものです。

画質は、アップスケーリング回路で決まる

現在、家庭向けのTVやプロジェクター(以下ディスプレイと称します)の最大画素数は、1920×1080=約200万画素です。これに対してDVDに収録されているのは、720×480=約35万画素でしかありません。つまり、DVDプレーヤーの映像をフルHDディスプレイに表示するためには、200万−35万=165万画素が不足するわけです。
さらに、この165万画素は、一枚の静止画なのでこれが毎秒60コマ必要ですから、何と毎秒1億!画素が不足しているのです。そのため、ディスプレイの画素を埋めてきちんとした映像を表示するために、どこかでこの不足する画素を作り出さなければなりません。この回路のことを専門的な言葉では、「アップスケーリング回路」と呼びます。
もう一度アップスケーリング回路の働きを振り返りますが、フルHDのTVでDVDを見ている時、DVDに記録されているのは「35万画素」でアップスケーリング回路によって作り出されるのが「165万画素」です。つまり、私たち見ている映像の80%が「アップスケーリング回路が作り出した映像」なのです。どうでしょうか?この説明で「アップスケーリング回路」がどれだけ画質に大きな影響を与えているか、おわかりいただけたのではなかろうかと思います。
結論。DVD(フルスペックハイビジョンソース以外)をハイビジョンディスプレイで見るときには、画質は「アップスケーリング回路の良否」で決まります。

アップスケーリング回路は、ケーブルで選べる

次のポイントは、接続方法によって「アップスケーリングを行う回路(機器)が変えられる(選べる)」ということです。実際には、下のように簡単な事ではありませんが、細かい事を言い出すときりがなくなるので「アップスケーリング行う場所は、映像のデジタル接続/アナログ接続の違いによって選ぶことができる」と覚えてください。

  1. 「アナログ方式による接続(D/コンポーネント/Sなど)」の場合は、アップスケーリングは「ディスプレイ側の回路」で行われます。
  2. 「デジタル方式による接続(DVI/HDMIなど)」の場合、アップスケーリングは「プレーヤー側の回路」で行われます。

ここで重要なポイントとなるのが「デジタル接続/アナログ接続による画質の劣化の違い」です。接続方法を変えることで「良い方のアップスケーリング回路」を選んでも、そのための接続により映像が劣化しては、元も子もないからです。
一般的には、「デジタル接続では、画質は劣化しない」とされていますが、それは大きな間違いです。我々のテストや経験では、「デジタルの方がアナログ接続よりも劣化が激しい場合がある」と言うことがわかっています。これは机上の理論と逆の答えとなります。考えられる原因は、アナログよりも周波数が圧倒的に高くケーブルが細いデジタルでは、「隣接するケーブルと信号が干渉しやすい」、「あるいはケーブルを曲げた時にケーブル間の距離が変わってしまうことで信号に乱れが生じる」などの物理的(現実的)な要因によって、伝送中の信号の劣化が非常に激しく起きるからではないでしょうか?実際、10m以上のケーブルを使って映像を伝送する場合、画質に大きな変化がない「アナログ」に対して「デジタル」ではかなり良質なケーブルを使わなければ「絵が乱れて出なくなる」などの問題が生じることは希ではありません。
このように、デジタル伝送がアナログ伝送よりも優れているのは、机の上だけの話で現実的(特に家電品に使われるような質の低いケーブルでは)では、デジタルが優位だと言うことは全く考えられませんから、「アップスケーリング回路」を選ぶために「デジタル/アナログ」を使い分けるという考え方に、問題は生じません。

HDMI Ver1.3で画質は良くならない

HDMIは、Ver 1.3になって伝送周波数が2倍になり情報量が大幅に増加しています。解像度(画素数)は、Ver 1.2以前の1080pと変わりませんが、色信号が8Bitから12Bitとなるなど強化されています。しかし、実際に試したところでは、Ver 1.3とそれ以前では、色の再現性に顕著な差は感じられませんでした。
ブルーレイ・プレーヤーからディスプレイにHDMI Ver1.3で接続した場合と、Ver1.2の機器を経由してディスプレイに繋いだ場合の画質を比較してみました。

ブルーレイからAVアンプへの接続ケーブルには、FURUTECH HDMI-ALFAを使用し、AVアンプからディスプレイへは、WIRE-WORLD SHHを使用して、PIONEER配布のブルーレイのデモソフトの再生で画質を比較。

接続
出力

PIONEER

DVD-LX80 (Ver1.3)

PIONEER

DVD-LX80 (Ver1.3)

PIONEER

DVD-LX80 (Ver1.3)

PIONEER

DVD-LX80 (Ver1.3)

直接入力

FURUTECH

(HDMI-ALFA)

FURUTECH

(HDMI-ALFA)

FURUTECH

(HDMI-ALFA)

FURUTECH

(HDMI-ALFA)

PIONEER

VSA-AX4AH (Ver1.3)

marantz

SR7001 (Ver1.2)

marantz

SR7002 (Ver1.3)

WIRE-WORLD
(SHH)

WIRE-WORLD
(SHH)

WIRE-WORLD
(SHH)

ディスプレイ

Victor

DLA-HD100

Victor

DLA-HD100

Victor

DLA-HD100

Victor

DLA-HD100

画質

接続ケーブルにWIRE-WORLDSHHよりも画質の劣るFURUTECH 
HDMI-ALFAを使用したにもかかわらず画質が最も優れていたのは、この接続。

奥行きが自然で淡い色彩の再現性が高かった。

 

VSA-AX4AHを経由するとバッファアンプの影響で、わずかに映像がクッキリと見える傾向が感じられたが、スタジオで撮影された「超高画質」の場面では、色彩の表現力に若干の差が感じられた。しかし、その差はじっくりと見なければわからないほど軽微なもので、ケーブルに違いによる画質差よりも遙かに小さい。
念のためDLA-HD1でも同じ比較を行ったが、変化はほとんど同じように感じられた。

(2)とほとんど同じ傾向で、HDMIのバージョンのグレードダウン(1.3→1.2)による画質の劣化は認められなかった。

(2)とほとんど同じ傾向で、AVアンプに違いによる画質の劣化は認められなかった。AVアンプに変えて、中間にHDMI(Ver1.2)のセレクターを経由して画質を比較したが、やはり(2)との違いは認められなかった。

ブルーレイ・プレーヤーの出力をHDMI(Ver1.2)のスプリッター(分配機)を経由した画質も(2)と同じだったが、スプリッターの出力をSR7002に入力すると音声が2ch/PCMになってしまった。

さらに接続ケーブルによる画質の違いを検証しました。

ブルーレイから直接ディスプレイに映像を入力した場合と、HDMI Ver1.2のセレクターを介してディスプレイへ映像を入力した場合の画質を、ケーブルの品質を変えて比較。

接続

出力

PIONEER
BDP-LX80

PIONEER
BDP-LX80

PIONEER
BDP-LX80

PIONEER
BDP-LX80

高級HDMIケーブル

WIRE WORLD SHH

廉価HDMIケーブル

ノーブランド品

高級HDMIケーブル

HDMI(Ver1.2)セレクター

廉価HDMIケーブル

廉価HDMIケーブル

HDMI(Ver1.2)セレクター

高級HDMIケーブル

ディスプレイ

PIONEER
PDP-5010HD

PIONEER
PDP-5010HD

PIONEER
PDP-5010HD

PIONEER
PDP-5010HD

画質

発色の良い、自然なバランス。基準の画質とする。

基準の画質に比べて、色数が減少し、コントラストがきつくなる。

輪郭がボケて、細部の表現が淡くなる。

低価格HDMIケーブルの影響を強く受けて色数が減少し、コントラストがきつくなる。色味は。廉価ケーブルを直接接続したときより落ち着いた印象に変化する。

高級ケーブルを直接に接続した雰囲気に近い。

特に変化した、劣化した路言う印象は感じられない。

このように我々が実際に行った画質比較テストでは、HDMIのバージョンが1.3になったことで色再現性が向上したという結果は得られませんでした。つまり、HDMI Ver1.3なら「綺麗に見られる」というのは、現時点では明らかな過大広告で、誤った(あるいは先走った)情報だと言わざるを得ません。それよりも、前述したアップコンバート回路や接続ケーブルの品質による差の方が遙かに大きく感じられるため、高画質を実現するためには、HDMIのバージョンを気にするよりも、接続方法やケーブルの品質を考慮する方が重要だとおわかりいただけると思います。
また、これらのテストとは別に「MERIDIAN/FAROUJA DVP−1080HD」という100万円近いスケーラー(映像のアップコンバートを行う装置)を使ってAIRBOW DV6600/Specialのコンポーネント/プログレッシブ出力を1080pのHDMI信号(Ver1.2/色信号は8bit)に変換してPIONEER PDP−5010HDとSHARP LV52TH1に入力してブルーレイと比較しましたが、解像度はやや劣る(それでもかなり高く720pの放送ソースは越えた)ものの、色再現性の鮮やかさと深さ(色の濃さと多色性)に関しては、優れているはずのブルーレイを遙かに超えてしまいました。この素晴らしい絵を見せられると、たとえ「MERIDIAN/FAROUJA DVP−1080HD」が100万円であっても、思わず手が出てしまいそうになります。仮にこの装置がブルーレイ・プレーヤーの最高機種と同じ価格であったなら、間違いなく私は、ブルーレイ・プレーヤーではなく「MERIDIAN/FAROUJA DVP−1080HD」を購入するでしょう。

音質の良い接続方法の考え方

ピュア2chオーディオ製品と違って、DVDプレーヤーとAVアンプには、どちらにも「デジタルコンバーター」が搭載されています。メーカーは、DVDプレーヤーとAVアンプをデジタル接続で使用することを推奨していますが、その理由は、ドルビーデジタル/DTSデコード、疑似サラウンド演算(DSP)などを行うときに、信号がデジタルのまま入力された方が「高音質でデコードや演算を行える」という考え方によります。
しかし、純粋に音質のみを考えた場合、この考え方は明らかな間違いです。

デジタルだから劣化しないというのは、明らかな間違い

まず、映像の伝送同様、デジタルで音声を伝送しても「音質が劣化する」という問題がなおざりにされています。そしてさらに問題なのは、デジタル音声の劣化は、映像よりも遙かに顕著だということです。それを確認するには、ドルビーデジタルのディスクを再生して、DVDプレーヤーからAVアンプへの接続を[同軸デジタル]と[HDMI]のそれぞれの音質を比較するとわかります。[同軸デジタル]から[HDMI]に切り替えた途端、音の密度が低下し、低音が出なくなってしまうことに気付けるはずです。圧倒的に「音が悪くなる」ことがわかるはずです。逸品館の試聴室で様々なDVDプレーヤーとAVアンプの接続でこの比較を行いましたが、ほぼ例外なく[HDMI]接続では、音質が顕著に劣化することが聞き取れました。外部情報としても[HDMI]接続の音の悪さを指摘するAV関連メーカーからの声が聞こえています。これらが「デジタルだから音が悪くならないというのは迷信」だという根拠です。

ドルビーTrueHDだから音が良いというのも、明らかな間違い

新生代のハイビジョン・ビデオディスクには、SACDやDVDオーディオと同じクォリティーの高音質サラウンド(ドルビーTrueHDなど)が収録されています。規格上では、それまでのドルビー、デジタルとは圧倒的に違う高音質が得られそうです。
そこで「ダイハード4.0」のブルーレイを再生して、HDMI入力(ドルビーTrueHD)と同軸デジタル入力(従来のドルビー、デジタル)の音質をPIONEER VSA−AX4AHで比較しました。確かにドルビーTrueHDでは、ドルビーデジタルの音質に比較して、きめが細かく高域の透明感や伸びやかさが改善されています。しかし、その差はAVアンプのモデルによる音質差よりも遙かに小さく、良く聞かなければ「切り替わったのがわからない」と言えるほどでしかありません。映画を観ている場合なら、この音質差に気付かない場合も多いのではないかと想像します。
次にDVD(DTSデモディスク)を再生して、HDMIと同軸デジタルによるDTSの音質を比較したところ、これは圧倒的に同軸デジタルが優位でした。特に低音の力感と量感は、サブウーファーの有る無しと同じ以上に大きく感じられたのには驚きました。
最後に、「ダイハード4.0」の音声を同軸デジタル(ドルビー、デジタル)でAIRBOW PS8500/Specialに入力して音を出して比較しましたが、予想通り問題なくブルーレイのドルビーTrueHDの音質を上回りました。密度感や情報量(音の細やかさ)では、ドルビーTrueHDに優れた部分を感じられることはありましたが、場の雰囲気、空気感、などの「表現力」に関する部分では、比較にならないくらいPS8500/Specialが優れています。一番顕著だったのが「言語」です。VSA−AX4AHで聞く言語は、どこかデジタル的で「生の声」には聞こえません。しかしアンプをPS8500/Specialに変えると、そこで本当に人が喋っているとしか思えないほど、一気に「声が生々しくなる」のです。もちろん、効果音も違って聞こえます。楽しさ、驚き、悲しみ、苦しみ、それらの感情が効果音から伝わってきます。最も違って感じられるのが、バックミュージックです。VSA−AX4AHで聞くバックミュージックは、ただの「放送」でしかありませんが、PS8500/Specialで聞くそれは、まるで「生演奏」のように感じられるのです。画質のみならず、音質もすでに「フォーマット(規格)」を追わなければならない時代は過ぎました。これからは「数値化できない質」をどれだけ高められるか?が勝負になってきたのだと思います。
最後に「ダイハード4.0」の音声をHDMIでSR7002(ドルビーTrueHD)とSR7001(PCM 5.1ch)に接続して比較したところ、「ほぼ同等」の音質が得られました。これらの結果から、将来的にはともかくブルーレイ・プレーヤーやHD−DVDの導入に合わせて、AVアンプを買い換える必要はないと結論づけられます。

信号伝送の劣化は、周波数の高さに比例する

理論上では、高周波伝送時における様々な「エラー」を考慮して、信号が劣化しないように定められているHDMIの規格ですが、実際には「ケーブルによる劣化」に見られるように、設計時には意図していない原因(予見できない原因)によってかなり激しい劣化を起こします。これらの「劣化」の問題を考えた場合、経験的には、伝送時における劣化は、「周波数の高さに比例している」という考え方が導かれます。理論的に考えた場合には、ずいぶんと乱暴な意見ですが、実際のテスト結果から見るとこの考え方は、あながち間違いではなさそうです。
つまり、信号の劣化は、周波数の最も高いHDMIそれもVer1.3で最も激しく、それよりも遙かに周波数の低い「アナログ音声信号」や「同軸デジタル音声信号」、「コンポーネント映像信号」では、少ないと考えられるのです。また、その劣化の仕方も「アナログ/デジタル」という信号伝達方式にかかわらず同じような傾向を持っているのも興味深いと思います。このあたりになると、解明されていることはほとんどなく、ほぼ完全に手探りによる実証しか、それらを確かめる方法はありません。だからこそ、我々のような販売店やマニアが最高の理論と最高の計測機器を持っている巨大メーカーの鼻をあかせることがあるのです。
このように理論では、予見できない「劣化」や「ロス」を工夫を凝らして防ぎ、それらからメーカーが意図していないほどの素晴らしい音質、画質を取り出す。その努力こそが「趣味」としてのオーディオやビジュアルの楽しみ方の一つなのではないかと思います。そこは、いろいろな意味での大きな「感動」に出会える場所なのですから。

音質は、アナログ接続が一番良い

さて、話を本題の「音質」に戻しましょう。 DVDプレーヤーとAVアンプの接続で一番ピュアな音質が取り出せる接続は、「アナログ」です。その理由はいくつかありますが、最も大きな理由は「DVDプレーヤーの中でD/A変換が行われる」という音質的なメリットです。DVDプレーヤーの中でデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換すると、余計な「D−D変換によるロス」と「ケーブルやコネクターによるロス」が発生しないため、ピュアな音声信号を取り出すことができるからなのです。特にSACDやDVDオーディオ、あるいはドルビーTrueHDなどの「信号の情報量が多いフォーマット」であればあるほど、DVDプレーヤーで先にアナログに変換する方が、音質的にデメリットが生じず、良い音が得られます。
確かにDVDプレーヤーからサラウンド音声をAVアンプにアナログ入力するとスピーカー設定などをDVDプレーヤー側で行わねばならなくなり、その結果AVアンプによる「自動音声調整」や「5.1ch→7.1ch変換」などの機能が使えなるというデメリットが生じます。しかし、それらと引き替えに得られる音質向上のメリットは、非常に大きく、オーディオショップとして「本当にいい音」を知っている我々としては、アナログ接続をお薦めいたします。
もし、それが面倒だ!と感じられるなら、すべてを「HDMI」で接続して、自動セットアップなどを使い簡単便利にAV機器を使ってください。それで、「問題なく、そこそこ実用になる音も絵も出る」はずです。重要なのは「そこそこ」で満足するのか?あるいは「最高」を目差したいのか?ということなのです。
もし、あなたがそのレベルに目標を定めると使い物になる情報は、一気に少なくなります。なぜなら、その先は、身体を使っていろいろと試さないと、結果が出ないからです。頭で考えて「いい音」が出せるなら、大手家電メーカーがそれをやってるはずです。理論では予見できない良い音を出すための唯一の方法は「できるだけ多くのテストをやってみる」ことなのです。考えられる限りの「すべてのやり方」を試してみないと、どれが「最良」であるかは、決してわかりません。
近道はありませんが、もしお困りなら逸品館にお問い合わせ下さい。すでにテストして結果が出せているようであれば、お役に立てるアドバイスを差し上げられると思います。

AV機器の接続

接続する機器に応じた画質・音質に優れると考えられる接続例をいくつか挙げてみます。ただし、この「例」が必ずしも別とというわけではありませんので、参考程度にご覧下さいませ。音声信号は「黒」映像信号は「ピンク」の矢印で示し、それぞれの記号は、ケーブルの種類を示しています。

DVDプレーヤ・AVアンプ・ディスプレイの接続例

DVDプレーヤーの音声出力は、同軸デジタルとアナログの両方でAVアンプに繋ぎます。音質がピュアなのは、アナログですが、同軸デジタル接続ではアンプの様々な機能(疑似サラウンド機能)が使えるようになります。ディスクの種類に応じ、あるいは気分で両方を使い分けると便利です。
DVDプレーヤーの映像出力は、コンポーネント/D端子もしくは、それにHDMIを追加接続します。プロジェクターなどで長尺のケーブルが必要な場合、2本の長尺ケーブルを使うのは、コストがかなりアップしてしまいますので、できれば事前にテストして画質の良い方を選んでおくと良いでしょう。
AVアンプの映像出力は、コンポーネントもしくはS端子、ケーブルがない場合には、余っているRCAケーブルなどを利用してコンポジットでもかまいませんから、どれかをディスプレイに繋ぎます。設定画面以外、AVアンプから映像を出力することはありません。
考え方のポイント
DVDプレーヤーは、機能が少なくリモコンはTVもしくはDVDプレーヤーのものを流用できます。HDMIを経由して一括コントロールするメリットは余りありません。

HDDレコーダー(CATVチューナー)・AVアンプ・ディスプレイの接続例

HDDレコーダーの音声出力は、同軸デジタルもしくは光デジタルでAVアンプに繋ぎます。HDDレコーダーやCATVチューナーのアナログ音声出力は、音が良くないので繋ぐ必要はありません。
HDDレコーダーの映像出力は、HDMI(i−link)もしくは、それにコンポーネント/D端子を追加接続します。画質がよいのは、アナログの可能性が高いのですが、ディスプレイが薄型TVの場合はTV側からHDDレコーダーの予約設定などができる簡便さを優先する方が得策だと思います。
AVアンプの映像出力は、コンポーネントもしくはS端子、ケーブルがない場合には、余っているRCAケーブルなどを利用してコンポジットでもかまいませんから、どれかをディスプレイに繋ぎます。設定画面以外、AVアンプから映像を出力することはありません。
考え方のポイント
HDDレコーダーは、予約設定をTV側から行う方がやりやすく便利です。また、TVのリモコンとHDDレコーダーのリモコンは、機能やデザインがよく似ているのでリモコンをまとめるほうが繁雑にならなくて良いのではないでしょうか?DVDレコーダーと異なり、HDDレコーダーの接続の場合は、画質を優先するよりもHDMIやi−linkなどを経由して一括コントロールするメリットの方が大きいと思います。

ブルーレイ・HD DVDプレーヤー・AVアンプ・ディスプレイの接続例

ブルーレイ、HD−DVDプレーヤーの音声出力は、同軸デジタルとHDMIでAVアンプに繋ぎます。アナログ出力があれば、それを追加して繋ぎます。再生するディスクが、ドルビーTrueHDやDTS Master Audioで収録されていれば、音声はHDMIで出力します。従来のドルビー・デジタルやDTSで収録されている場合には、同軸デジタルの方が圧倒的に音が良いのでHDMIは使用しません。プレーヤーにアナログ音声出力があれば、いずれの場合にもそれらよりもピュアな音質が得られるので接続します。
ブルーレイ、HD−DVDプレーヤー映像出力は、コンポーネント/D端子のみディスプレイに直接接続します。追加でHDMIを接続してもかまいませんが、プレーヤーのHDMI出力が1系統しかない場合には、それをAVアンプに繋ぎます。HDMIは、AVアンプを経由しても画質の劣化が少ないので、ディスプレーに直接接続する必要はありません。ただし、コンポーネント/D端子の映像出力は、必ずディスプレイに接続しておかないと、AVアンプの音声入力を同軸デジタルにしたときに、DVDの映像が見られなくなるのでご注意下さい。
AVアンプの映像出力は、必ずHDMIでディスプレイに繋ぎます。プレーヤーから出力された映像は、AVアンプを介してディスプレイに接続されます。
考え方のポイント
DVDの音声は、同軸デジタルでAVアンプに接続する方が圧倒的に音が良いです。そのためには、プレーヤーの出力をディスプレイにも直接接続しておく必要があります。幸いにも、プレーヤーとディスプレイの接続は、高画質ディスプレイをお使いの場合、HDMIとコンポーネント/D端子では、ほとんど差がないのでこの繋ぎ方で問題ありません。ただし、ディスプレイ側のアップスケーリング回路が貧弱だとコンポーネント/D端子から映像を入力するときわめて大きく画質が劣化することがあるので注意が必要です。

後書き

このページにある画質/音質と接続の関係は、メーカーの提示するプランや理論とは異なる場合がありますが、テストの結果判明した事実なので参考になさっていただいて間違いありません。 接続例に関しましては、機器の相性などに依存する傾向が強く、音質はともかく画質につきましては100%の精度で最高であるとは言い切れません。できれば、ご自身の環境でお試し下さいませ。 わからないこと、新しくお気付きになられたことなどがございましたら、お気軽に弊社の「掲示板」でお尋ね下さいませ。